「春から初めての一人暮らし。部屋の契約は自分の名前でできる? 親に契約してもらうべき? 保証人は親に頼めばいいの?」
結論から書きます。
18歳以上なら、親の同意がなくても自分の名前で賃貸契約ができます(民法4条)。17歳以下で契約するときは、親(親権者)の同意が必要です(民法5条)。契約の形は「本人が契約者+保証会社」「本人が契約者+親が連帯保証人」「親が契約者で本人は入居者」の3つが基本で、どれにするかで審査の対象と、あとから名義を変えるときの手間が変わります。親が連帯保証人になる場合は、保証の上限額(極度額)を契約書に書かないと保証契約は無効です(民法465条の2)。
初めての契約でつまずきやすいのは、物件選びより「誰の名前で、誰の収入で、誰が保証するか」を親子で決めないまま申し込んでしまうことです。この記事では、年齢ごとのルールを条文で確認したうえで、3つの契約パターンの違いと、合格・内定から入居までの手順を時系列で整理します。
この記事でわかること
- 18歳・19歳は親の同意なしで契約できる根拠(民法4条・5条)
- 早生まれで契約時に17歳のときの注意点(同意書・取消し)
- 本人契約・親名義契約・親が連帯保証人、3つのパターンの違い
- 親が連帯保証人になるときの「極度額」と、支払い状況を確認できる権利(民法465条の2・458条の2)
- 収入のない学生・入社前の新社会人が審査で用意する書類
- 合格・内定から入居、住民票の手続きまでの流れ
まず決めるのは「誰が契約者になるか」|3つのパターン
賃貸の契約には、部屋に住む人(入居者)とは別に、家賃を払う義務を負う人(契約者=借主)と、払えなかったときに代わりに払う人(連帯保証人または保証会社)がいます。初めての一人暮らしでは、この役割を本人と親でどう分けるかを最初に決めます。
| パターン | 家賃の支払い義務 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| A 本人が契約者+保証会社 | 本人 | 新社会人、親に保証人を頼みにくい人 | 保証会社の保証料がかかる。親は緊急連絡先を頼まれることが多い |
| B 本人が契約者+親が連帯保証人 | 本人(払えなければ親) | 学生で、物件が連帯保証人を求めている場合 | 親の保証には極度額の記載が必須(民法465条の2)。保証会社の併用を求められることもある |
| C 親が契約者(親名義) | 親 | 本人に収入がなく、親の収入で審査を受けたい学生 | 本人は入居者として記載する。卒業後に本人名義へ切り替えるには貸主の承諾が必要 |
どれが「正解」ということはありません。選べるパターンは物件ごとに貸主・管理会社が決めているので、申し込む前に「学生の本人契約は可能か」「保証会社は必須か」を確認するのが確実です。
18歳・19歳は親の同意なしで契約できる|民法4条・5条
2022年4月1日から、民法の成年年齢は20歳から18歳に引き下げられました。
(成年)
民法 第4条(e-Gov法令検索)
第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。
法務省は、成年年齢の引下げで18歳・19歳ができるようになる契約の例として、部屋を借りることをはっきり挙げています。
18歳,19歳の方は,親の同意を得ずに,様々な契約をすることができるようになります。例えば,携帯電話を購入する,一人暮らしのためのアパートを借りる,クレジットカードを作成する(後略)
法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」Q3
18歳・19歳の契約トラブルも実際に起きています。国民生活センターの集計では、2025年度に契約当事者が18歳・19歳だった消費生活相談10,250件のうち、「賃貸アパート」は391件で5番目に多い商品・サービスでした(2024年度も343件で5位)。
一方、18歳未満の人が契約するときは、親の同意が要ります。同意のない契約は取り消すことができます。
(未成年者の法律行為)
民法 第5条第1項・第2項(e-Gov法令検索)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
早生まれの人は、契約日に17歳のことがある
見落としやすいのが、1月1日〜4月1日生まれ(早生まれ)の高校3年生です。大学・専門学校への進学や就職で引越すのは3月が多いですが、早生まれの人は、その時点でまだ18歳の誕生日を迎えていないことがあります。契約日に17歳なら、18歳になった後の契約とは違い、親の同意(同意書)が必要です。
同意のない17歳の契約は、本人や親が取り消すことができます(民法120条1項)。取り消されると、契約は初めから無効だったものとみなされます(民法121条)。ただし、年齢を偽るなどして成年だと信じさせた場合(詐術)は、取り消すことができません(民法21条)。生年月日は正直に申告し、17歳の時点で契約するなら、管理会社の書式の「親権者同意書」をもらって提出します。
| 契約日の年齢 | 本人の名前で契約できるか | 必要になるもの | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 18歳以上 | できる(親の同意は不要) | 物件の審査で求められる書類。親を連帯保証人にするなら親の書類も | 民法4条 |
| 17歳以下 | できる(親の同意が必要) | 親権者の同意書。管理会社によっては親の契約を求められる | 民法5条1項 |
| 17歳以下で同意なし | 契約は取り消し得る | — | 民法5条2項・120条・121条 |
| 17歳以下で年齢を偽った | 取り消せない | — | 民法21条 |
親が契約者になる「親名義契約」|メリットと、あとで困る点
収入のない学生の場合、親が契約者になり、本人は「入居者」として契約書に記載される形がよく使われます。審査は主に親の収入や勤務先を対象に行われるので、本人に収入がなくても進めやすいのが利点です。
注意したいのは、契約者はあくまで親だという点です。家賃の支払い義務も、解約や更新の手続きも親の名前で行います。卒業して就職した後に本人名義へ切り替えるのは、法律上は賃借権の譲渡にあたり、貸主の承諾が必要です。
(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
民法 第612条第1項(e-Gov法令検索)
第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
承諾にあたって本人の審査をやり直したり、事務手数料がかかったりすることもあります。卒業後もその部屋に住み続けるつもりなら、最初から本人契約にできないかを検討する価値があります。
なお、17歳の子の名前で契約するとき、親が子を代理して契約手続きをすることもできます(民法824条:親権者は子の財産に関する法律行為について子を代表する)。この場合の契約者は子本人で、親が契約者になる親名義契約とは別物です。
| 比べる点 | 本人契約(A・B) | 親名義契約(C) |
|---|---|---|
| 家賃の支払い義務 | 本人 | 親 |
| 審査の主な対象 | 本人(+保証会社・連帯保証人) | 親の収入・勤務先 |
| 本人に収入がない学生 | 保証会社や親の保証で通るかは物件次第 | 進めやすい |
| 解約・更新の手続き | 本人 | 親 |
| 卒業後に名義を本人へ | 不要 | 貸主の承諾が必要(民法612条) |
親が連帯保証人になるとき|極度額と支払い状況の確認(民法465条の2・458条の2)
本人が契約者で、親が連帯保証人になる形(パターンB)では、2020年4月施行の改正民法のルールが関わります。賃貸の連帯保証は、将来の家賃や損害をまとめて保証する「個人根保証契約」にあたり、上限額(極度額)を定めなければ無効です。
(個人根保証契約の保証人の責任等)
民法 第465条の2第1項・第2項(e-Gov法令検索)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(中略)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、(中略)その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
極度額は「家賃の◯か月分」や「◯◯万円」の形で契約書に書かれます。親に頼むときは、「いくらまで責任を負うのか」を契約書の極度額欄で一緒に確認してから署名してもらうのが誠実な進め方です。
もう一つ、親にとって安心材料になる条文があります。本人から頼まれて保証人になった親は、貸主に家賃の滞納がないか、いくら残っているかを問い合わせることができ、貸主は遅滞なく答えなければなりません。
(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)
民法 第458条の2(e-Gov法令検索)
第四百五十八条の二 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
| 親が確認すること | どこを見るか | 根拠 |
|---|---|---|
| 保証の上限額 | 契約書(保証契約)の極度額欄 | 民法465条の2 |
| 保証契約が書面か | 署名する書面、または電磁的記録 | 民法446条2項・3項 |
| 滞納がないか | 貸主・管理会社に問い合わせる | 民法458条の2 |
| 保証会社も併用か | 重要事項説明・募集条件 | 物件の条件 |
収入のない学生・入社前の新社会人の審査|用意する書類
入居審査では、家賃を払い続けられるかを見ます。収入がまだない学生や、4月入社の新社会人は「今の収入」を示せないので、代わりになる書類で支払いの見込みを伝えます。どの書類を求めるかは管理会社・保証会社によって違うので、申込み前に確認してください。
| 立場 | よく求められる書類 | ポイント |
|---|---|---|
| 大学・専門学校の新入生 | 本人確認書類、合格通知書または入学許可書、親の本人確認書類・収入証明(親が契約者・保証人の場合) | 入学前は学生証がないので、合格通知書で在学予定を示す |
| 在学中の学生 | 本人確認書類、学生証、親の書類(同上) | アルバイト収入があれば、その証明も補足になる |
| 入社前の新社会人 | 本人確認書類、内定通知書・採用通知書(勤務先・入社日・給与の記載があるもの) | 勤務先と入社日が分かる書類が、収入証明の代わりになる |
| 入社後の新社会人 | 本人確認書類、社員証や健康保険証、給与明細 | 入社直後で源泉徴収票がなくても、内定通知書と給与明細で補える |
保証会社を利用する物件では、保証会社の審査もあります。親は契約者や保証人でなくても、緊急連絡先として名前と電話番号を書くよう求められるのが一般的です。緊急連絡先は保証人とは違い、家賃の支払い義務は負いません。
合格・内定から入居まで|初めての一人暮らしの流れ
進学・就職の引越しは、毎年3月と4月に集中します。総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、2025年に都道府県をまたいで引越した人は3月だけで518,532人、4月は368,109人で、ほかの月の2〜3倍にのぼります。東京圏への転入超過も20〜24歳(80,443人)と15〜19歳(21,469人)が多く、進学・就職での一人暮らしが大きな割合を占めていることがうかがえます。
3月は空室が埋まるのも早い時期です。合格や内定が決まったら、親と条件を決めてすぐに動けるよう、次の流れを先に頭に入れておきます。
① 親と「予算・契約の形・保証」を決める
家賃の上限、初期費用を誰が出すか、契約者を本人にするか親にするか、保証を親が引き受けるか保証会社にするかを、部屋を探す前に決めます。ここが曖昧なまま内見に行くと、気に入った部屋が見つかっても申込みで止まってしまいます。
② 物件を探して内見する
通学・通勤の時間、家賃、間取りの優先順位をつけて探します。遠方から進学・就職する場合は、オンライン内見で候補を絞ってから現地に行くと移動の回数を減らせます。学生向けには、学生マンションや学生会館という選択肢もあります。
③〜⑤ 申込み・審査、重要事項説明、契約
申込み後、審査に通ると、契約の前に宅地建物取引士から重要事項説明を受けます(宅地建物取引業法35条)。初めての契約では分からない言葉が多いはずなので、その場で質問してかまいません。親が契約者や連帯保証人になる場合は、親も契約書の内容(特に極度額・解約予告期間・更新料・退去時の費用負担)を確認します。
⑥⑦ 入居と住民票の手続き
鍵を受け取ったら、家具を入れる前に部屋の傷や汚れを写真に残しておくと、退去時の精算でもめにくくなります。住民票は、転入をした日から14日以内に新住所の市区町村へ転入届を出します(住民基本台帳法22条1項)。学生でも、生活の拠点が移るなら住民票を移すのが原則です。
申し込む前に親子で話しておきたい6つのこと
- 家賃の上限と、誰が払うか(仕送りか、本人のアルバイト・給与か)
- 初期費用を誰が出すか(敷金・礼金・仲介手数料・保証料・火災保険料など)
- 契約者を本人にするか、親にするか(卒業後も住むなら本人契約が有利なことも)
- 親が連帯保証人になるか、保証会社にするか(極度額の確認)
- 緊急連絡先を親にしてよいか
- 契約日の年齢(早生まれで17歳なら同意書を用意)
よくある質問
18歳の大学生は親の同意なしで賃貸契約できますか?
できます。民法4条は年齢18歳をもって成年とすると定めており、2022年4月1日から18歳・19歳も親の同意なしに一人で契約できるようになりました。ただし、親の同意が不要になることと、審査に通ることは別の話です。収入のない学生の場合、物件によっては親が連帯保証人になることや、親が契約者になることを求められます。
早生まれで契約日に17歳の場合はどうなりますか?
親の同意が必要です。民法5条1項により、未成年者が契約するには法定代理人(親権者)の同意が要り、同意のない契約は同条2項により取り消すことができます。管理会社の書式の親権者同意書を提出するか、親が契約者になる形を選びます。年齢を偽って成年だと信じさせた場合は、民法21条により取り消せなくなるので、生年月日は正しく申告してください。
親名義と本人名義、どちらで契約するのがいいですか?
本人に収入がなく審査が不安なら親名義、卒業後もその部屋に住み続けるつもりなら本人名義が向いています。親名義では家賃の支払い義務や解約・更新の手続きが親になり、後から本人名義に切り替えるには、民法612条により賃借権の譲渡として貸主の承諾が必要です。どちらを選べるかは物件ごとに違うので、申込み前に管理会社に確認してください。
親が連帯保証人になると、いくらまで責任を負いますか?
契約書に書かれた極度額が上限です。民法465条の2により、個人が賃貸の連帯保証人になる契約は、極度額を定めなければ効力を生じません。また、本人から頼まれて保証人になった親は、民法458条の2により、貸主に家賃の滞納の有無や残額を問い合わせることができ、貸主は遅滞なく答えなければなりません。
収入のない学生や入社前の新社会人でも審査に通りますか?
通ることはあります。学生は合格通知書や学生証で在学を示し、親を契約者や連帯保証人にする方法がよく使われます。入社前の新社会人は、勤務先・入社日・給与が書かれた内定通知書や採用通知書が収入証明の代わりになります。求められる書類は管理会社や保証会社によって違うので、申込み前に確認してください。
まとめ
- 18歳以上なら、親の同意なしで自分の名前で契約できる(民法4条・2022年4月1日から)
- 早生まれで契約日に17歳なら親の同意が必要。同意のない契約は取り消し得る(民法5条)
- 契約の形は本人+保証会社/本人+親が連帯保証人/親名義の3つ。選べるかは物件次第
- 親名義から本人名義への切り替えは貸主の承諾が必要(民法612条)
- 親が連帯保証人になるなら極度額を必ず確認(民法465条の2)。滞納の有無は貸主に問い合わせできる(民法458条の2)
- 学生は合格通知書・学生証、新社会人は内定通知書が収入証明の代わりになる
- 入居したら14日以内に転入届
初めての契約は、分からないことがあって当然です。
「誰の名前で、誰の収入で、誰が保証するか」を親子で先に決めておけば、あとは条件に合う部屋を探すだけになります。
タダスムは、SUUMOやHOME’Sなどのポータルサイトで見つけた物件のURLをLINEで送るだけで進められるお部屋探しサービスです。仲介手数料は0円、または最大50%。対応エリアは関東(一部地域に限る)と大阪市内(一部地域に限る)です。
遠方からの進学・就職で何度も足を運べないときも、店舗に行かずにLINEで相談から進められます。
\ とりあえず無料で相談 /


