部屋探しをしていると、時々「仲介手数料無料」の賃貸物件を見かけませんか?
お得なイメージはありますが、なぜ仲介手数料が無料になるのか分からない方もいるでしょう。
そこで本記事では、仲介手数料が無料になる理由やデメリットを解説します。
仲介手数料以外に初期費用を抑える方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
仲介手数料とはどんなお金?
仲介手数料とは、不動産の仲介業務の対価として支払うお金です。
この章では、仲介手数料の詳細を解説します。
仲介業務の対価
不動産を介して物件を借りた場合、仲介手数料を不動産に支払います。
賃貸物件の仲介手数料は、宅地建物取引業法46条にて規定されています。
仲介手数料の目安については、この後に解説します。
仲介手数料の目安
仲介手数料の目安は、借主と貸主それぞれ「家賃の0.5ヶ月分」と法律で決まっています。
承諾がある場合は、借主と貸主のいずれか片方から、不動産は家賃1ヶ月分の仲介手数料を受け取れるのです
ただし、日本では昔から「仲介手数料は借主が支払うもの」と認識されています。
そのため、借主は「家賃1ヵ月分+消費税=家賃の1.1ヶ月分」の仲介手数料を支払うことが多いです。
仲介手数料の具体的な計算方法は、以下の通りです。
【家賃5万円の場合】
5万円+(5万円×消費税10%)=5万5千円 |
【家賃10万円の場合】
10万円+(10万円×消費税10%)=11万円 |
家賃5万円の場合は、仲介手数料の目安が5万5千円となり、家賃10万円の場合は、仲介手数料の目安が11万円となります。
仲介手数料が無料になる2つの理由

仲介手数料が無料になる理由は、2つあります。
1.不動産会社が賃貸物件を直接管理しているから
2.貸主が自ら仲介手数料を支払っているから
それぞれ具体的に見ていきましょう。
①不動産会社が賃貸物件を直接管理しているから
不動産会社が賃貸物件を直接管理していると、仲介手数料がかかりません。
賃貸物件の貸主は、個人の大家さんであることが多いです。
この場合、不動産会社はサービス業務の提供者という立場で借主と関わります。
一方、不動産で管理している物件は、仲介業務が発生しないため仲介手数料の支払いが不要です。
直接物件を管理することで、物件の品質管理や入居者のニーズにきめ細かく対応できるメリットもあり、結果的に空室リスクを低減し、長期的な収益安定につながります。
不動産会社の仲介業務の例は、以下の通りです。
不動産業務の仲介業務は、ただ物件を紹介するだけではありません。
契約に関する事務作業や貸主との交渉など、部屋を借りるために必要な業務全てが含まれます。
②貸主が自ら仲介手数料を支払っているから
貸主が自ら仲介手数料を支払っている場合も、仲介手数料が無料となります。
先述した通り、仲介手数料は「借主と貸主のいずれか片方から」受け取っても問題ありません。
貸主は物件の魅力を高め、入居者を早期に確保するために、仲介手数料を自ら負担することがあります。
この方法により、物件の市場競争力を高め、空室期間の短縮や入居率の向上を図ることができるのです。
仲介手数料無料のデメリット5選
仲介手数料無料の物件は、一見お得に見えます。
ただし、以下のようなデメリットがあることも把握しておきましょう。
・相場より家賃が高い
・不動産会社から仲介手数料以外で請求される
・不動産会社のサポートが手薄になる
・賃貸物件の選択肢が限られる
・不動産会社からの信頼を失う
それでは、詳しく解説します。
①相場より家賃が高い
仲介手数料無料の物件は、相場よりも家賃が高く設定されているかもしれません。
仲介手数料が無料だと初期費用は抑えられますが、長期的に見ると支払う総額が増えます。
仲介手数料は一度きりの支払いですが、家賃は毎月の固定費用となるため、2年間の契約期間で計算すると、仲介手数料を支払う方が総支出は少なくなるのです。
②不動産会社から仲介手数料以外で請求される
不動産会社から仲介手数料以外で請求される追加費用には、注意してください。
これらの費用は、仲介手数料が無料であることで、見た目上のコスト削減を実現しながら、別の方法で実質的な収益を確保しようとする不動産会社の戦略によるものです。
「仲介手数料無しだからお得」と考えるのではなく、トータルコストを慎重に確認しましょう。
③不動産会社のサポートが手薄になる
仲介手数料無料の物件では、不動産会社の収益が限られるため、提供されるサービスの質や量が低下する傾向があります。
具体的には、物件の詳細な説明や内見対応の柔軟性が低下したり、契約手続きの丁寧なサポートが得られにくくなったりします。
また、入居後のアフターフォローも最小限になりがちです。
特に、設備トラブルや近隣とのトラブルが発生した際の対応が遅くなったり、不十分になったりするリスクがあります。
④賃貸物件の選択肢が限られる
仲介手数料無料の物件は、不動産会社が独自に管理している物件や、特定のオーナーと契約を結んでいる物件に限定されることが多いです。
そのため、希望するエリアや条件に合う物件が見つかりにくく、選択肢が大幅に制限されるかもしれません。
また、仲介手数料無料を条件に物件を探すと、築年数が古い物件や立地条件が劣る物件など、比較的人気の低い物件が中心となります。
⑤不動産会社からの信頼を失う
仲介手数料の無料物件にこだわると、不動産会社との関係性が悪化するリスクがあります。
特に、複数の不動産会社を回って仲介手数料無料の物件ばかりを探す行為は、不動産会社からの信頼を失うでしょう。
これにより、将来的な引っ越しや物件探しの際に、良質な物件情報の提供を受けにくくなったり、優先的な案内を受けられなくなったりします。
仲介手数料を安くする方法
ここからは、仲介手数料を安くする方法を解説します。
・契約の意思を明確に伝える
・不動産会社に相談する
それぞれ見ていきましょう。
契約の意思を明確に伝える
契約の意思を明確に伝えることは、仲介手数料の値下げ交渉において重要な要素です。
物件を気に入り、確実に契約したい意向がある場合は、その旨を不動産会社に伝えることで、仲介手数料の交渉がスムーズになります。
特に、「この物件で決めたい」「いつまでに入居したい」など、具体的な希望を示すことで、不動産会社側も契約成立の確実性が高いと判断し、仲介手数料の柔軟な対応を検討してくれるでしょう。
また、複数の物件を見学した後に、特定の物件への強い関心を示すことも効果的です。
これにより、不動産会社側も無駄な案内や手続きを省くことができ、その分のコストダウンを手数料に反映させやすくなります。
ただし、あまりに強引な交渉や無理な要求は逆効果となるため、誠実なコミュニケーションを心がけましょう。
不動産会社に相談する
不動産会社への直接的な相談は、仲介手数料の値下げを実現する上で効果的です。
多くの不動産会社は、市場の競争激化や顧客獲得の観点から、仲介手数料に関して柔軟な対応を検討する余地があります。
特に、繁忙期を避けた時期や、空室期間が長い物件の場合は、交渉の余地が広がるでしょう。
相談の際は、自身の状況(予算の制約、入居希望時期、契約期間など)を具体的に説明することが重要です。
また、複数の不動産会社に相談することで、各社の対応や条件を比較検討できます。
ただし、単に値下げを要求するのではなく、長期契約や即決などの条件を提示することで、不動産会社側にもメリットのある提案をするのが望ましいです。
さらに、将来的な引っ越しや売買などの可能性も示唆することで、継続的な取引を見据えた交渉が可能になります。
値下げ交渉する際の注意点
値下げ交渉する際の注意点は、「高圧的な態度を取らない」と「交渉が成立したらすぐに契約する」の2つがあります。
高圧的な態度を取らない
仲介手数料の値下げ交渉では、威圧的な態度や強引な要求は逆効果となります。
不動産会社との良好な関係を維持しながら、誠実で丁寧なコミュニケーションを心がけることが重要です。
交渉が成立したらすぐに契約する
仲介手数料の値下げに応じてもらった場合は、速やかに契約手続きを進めることが重要です。
値下げ交渉後に契約を延期したり、他の物件を検討したりすると、不動産会社との信頼関係を損なう可能性があります。
また、交渉成立後に追加の値下げを要求することも避けるべきです。
誠実な対応を示すことで、将来的な取引でも良好な関係を維持できます。
仲介手数料以外に初期費用を抑える方法

続いて、仲介手数料以外に初期費用を抑える方法を解説します。
・敷金無し物件を探す
・礼金無し物件を探す
・フリーレント物件を探す
・引越し費用を抑える
・初期費用を分割払いにする
お得に部屋を借りたい方は、ぜひこの章をご覧ください。
敷金無し物件を探す
敷金無し物件は、初期費用を大幅に削減できます。
敷金の目的や特徴を以下にまとめました。
目的 | 退去時に部屋の修繕費や未払いの家賃があった場合に備えておく。 |
特徴 | 預かり金のため、退去時に問題がなければ一部または全額が返金される。 |
敷金は通常、月額家賃の1〜2か月分を要求されます。
そのため、敷金無しの物件は入居者にとって大きな魅力となるでしょう。
敷金無しの物件は、新築や築浅物件、人気エリアから外れた立地、または不動産会社の独自キャンペーンによって提供されることが多いです。
ただし、敷金無しの代わりに、契約条件や設備面で通常よりも厳しい条件が設定されている可能性があるため、契約内容を十分に確認する必要があります。
礼金無し物件を探す
礼金無し物件を探すことも、初期費用を抑える効果的な方法です。
礼金は、賃貸契約時に貸主に支払うお金で、通常は敷金同様に月額家賃の1〜2か月分が要求されます。
礼金無し物件は、競争の激しい不動産市場で物件の魅力を高めるために提供されることが多いです。
ただし、礼金無しの条件は、契約期間の制限や更新時の追加費用など、別の条件と交換されている可能性があるため、詳細な契約内容の確認が重要です。
フリーレント物件を探す
フリーレント物件を探すことで、初期の家賃負担を軽減できます。
フリーレントは、新築物件や長期空室物件、季節的な需要が低い時期に提供されやすいのが特徴です。
入居者の初期費用を抑えると同時に、不動産会社の空室リスクを低減するWin-Winの戦略となります。
ただし、フリーレント期間終了後の家賃や契約条件を慎重に確認し、長期的な費用対効果を見極める必要があります。
引越し費用を抑える
引越し費用を抑えると、初期費用を抑えられます。
引越し費用を抑える方法は、以下の通りです。
繁忙期を避けることで、引越し料金を30〜50%程度削減できる可能性があります。
また、引越し業者の比較見積もりや、知人や友人の助けを借りる方法、レンタカーを利用した自力引越しなどで、大幅な費用削減が可能です。
さらに、不要な家具の処分や梱包材の節約、引越し時期の柔軟な調整など、様々な工夫で引越し費用を抑えられます。
初期費用を分割払いにする
初期費用を分割払いにするのは、一時的な経済的負担を軽減させる効果的な選択肢です。
多くの不動産会社や保証会社が、敷金・礼金・初回家賃などの初期費用を複数回に分けて支払うプランを提供しています。
通常、3〜6か月に分割して支払うことができ、月々の支払い額を抑えられます。
ただし、分割払いには手数料が発生する場合があるため、総支払額の増加に注意が必要です。
また、クレジットカードや分割払いサービスを利用することで、さらに柔軟な支払い方法を選択できます。
まとめ
本記事では、仲介手数料が無料になる理由やデメリット、仲介手数料以外に初期費用を抑える方法を解説しました。
賃貸物件の仲介手数料が無料になる理由は、以下の2つです。
1.不動産会社が賃貸物件を直接管理しているから
2.貸主が自ら仲介手数料を支払っているから
また、仲介手数料無料のデメリットは以下の通りです。
・相場より家賃が高い
・不動産会社から仲介手数料以外で請求される
・不動産会社のサポートが手薄になる
・賃貸物件の選択肢が限られる
・不動産会社からの信頼を失う
デメリットを把握した上で、仲介手数料無料の賃貸物件を選びましょう。